「作業」と「仕事」

4月からの社会人生活に向けて、スーツを買いに行きました。
とある紳士服店の店員さんのサービスから感じた「プロの仕事」、
それを題材に「作業」と「仕事」という事について考えてみたいと思います。
行ったお店は・・・


SUIT SELECT


友達の買い物に付き合った時に「イイなー」と思い、密かに狙いを定めていました。そうです、また影響されてしまいました。口コミの格好の餌食ですね(笑)ここで「SUIT SELECT」というお店について少し。


「SUIT SELECTと佐藤可士和
みなさんは紳士服と聞いてどんな店を思い浮かべますか?「コナカ」「アオキ」「はるやま」あたりが有名所なのではないでしょうか。最近では「パーフェクトスーツファクトリー」や「ザ・スーツカンパニー」といったお店もよく見かけます。このように群雄割拠の紳士服業界に彗星のごとく現れたのが今回取り上げたコナカ系列の「SUIT SELECT」なのです。同系の「SUIT SELECT21」というお店がありますが、そちらとは別の展開がなされています。ご存知の方も多いかと思いますが、「SUIT SELECT」はクリエイティブディレクターの佐藤可士和さんがディレクションを手がけた事で注目のお店です。


「SUIT SELECT」の何が他の店と違うのでしょか?まったくの主観ですが、以下にザックリとまとめてみました。
●店のデザイン(見た目)
●店のシステムのデザイン(機能性)
●店のサービスのデザイン(コミュニケーション)
実際に私自身サービスを受けて「SUIT SELECT」トータルとしてデザインされているなという印象を受けました。お店の外装・内装からは、店員さんが誇りを持って働ける洗練された雰囲気と、見た目だけではなくて働きやすさも追求された機能性を感じました。


↓店の内装(写真:SUIT SELECT天神店 引用:天神経済新聞


サービスについては(確認したわけでは有りませんが)おそらく接客マニュアルに至るまで綿密に計算されているのではないかと私が感じた「SUIT SELECT」の接客について簡単にまとめたいと思います。これが今回の本題である「作業」と「仕事」の違いという事について考えるきっかけとなりました。
●まず、店員さんのスーツの着こなしが全員おしゃれ。
●客が話しかけないかぎり、むやみやたらと話しかけてこない。
●客の業種、職種、年次を考慮してスーツの提案をしてくれる。
●客の手持ちのスーツ、シャツ、ネクタイ、使用頻度などを考慮して提案してくれる。
●提案がすばやい。
●提案が1案だけではなく2〜3案の中から一押しをチョイスしてくれる。
●客に膨大なラインナップから効率的に意中のスーツの選択肢を用意してくれる。
●自信を持って薦めてくれる。
●シャツとネクタイの組み合わせを手持ちのスーツも考慮して提案してくれる。
トークが上品かつ軽快
●ネクタイカラーを選ぶ際、風水的なこネタを披露(おそらくその店員さんオリジナル)
●シューズを試着する際、プラスマイナス0,5サイズを一緒に持ってきてくれる。
●試着する際、靴台をあててくれる。
●客に店の裏側を見せない(在庫倉庫や従業員スペース等)。
●会計の際、客を歩かせない。店員さんがレジを行き来する。
とまあこんな具合です。「当たり前」と思われるかもしれませんが、当たり前の事を当たり前に出来るのはスゴイ事だと私は思います。上記のサービスの中のいくつかは店の接客マニュアルにある物だと思いますが、他の紳士服店に比べ水準が高いと感じました(SUIT SELECTの回し者ではありませんよ!)。


何より、店員さんが自信を持って生き生きと働いているのが伝わってきました。「このスーツは私が着ているので間違いありません!」と始めに言われた時は、大きく出たなーと思ったのですが、接客を受けるうちにだんだん説得力が出てくるから不思議なものです。その部分はマニュアルではなくてその店員さんオリジナルの技術名のではないでしょうか?おそらく私が上記に挙げさせてもらったものの中にも、そういったオリジナリティーが含まれているはずです。
お洒落で機能的な店内、自信の持てる商品、高水準の接客マニュアル。これらの環境が、店員さんの誇りに繋がって、マニュアルではない部分を存分に引き出す好材料になっていると私は考えました。私が「この人プロだなー」と感じたのは、その人から滲み出るキャラクターと固有の接客技術によるものだと思います。そのマニュアルではない部分が仕事の醍醐味なんだろうなーと、感じました。


話を「作業」という視点を加えて考えると、マニュアル通りの仕事は「仕事」ではなく「作業」なのではと、ふと感じました。逆に、与えられた仕事であっても、それがどんなに単純な作業であったとしても「どうすれば効率が良いか」「相手が求めているのは質か?早さか?」「優先順位は?」といった事を考えながら行う事で立派な「プロの仕事」と呼べるものになるのではないでしょうか。たとえ世間からは「作業」と呼ばれる事でも。まだ、社会に出る前のひよっこがこんな事を行っても何の説得力もありませんが、「SUIT SELECT」の店員さんのサービスを受けて、マニュアルを超えた「プロの仕事」を感じ、今回のブログの題材にさせていただいた次第です。よーく目を凝らすと、街中にはそんな「プロの仕事」をする人達が沢山いるのかも知れませんね!自分もそんな社会人になろう、そう思った一日でした。


いやー、かなりの長文になってしまいました。
当面の課題はいかに簡潔に言いたい事を書くかですね・・・。
ではでは。


<今日のキャスト>
佐藤可士和
コナカ
アオキ
はるやま
パーフェクトスーツファクトリー
ザ・スーツカンパニー
SUIT SELECT21
天神経済新聞